ペケ山ブログ

思いついたことを好きに書いています。

ビーチク悪徳商法 〜咲かせて桃色吐息〜 その②

 
 
 
 

f:id:x_yama:20161229100655j:plain

梅宮アンナ似の女性は
先程記入したアンケートをみて
話し始めた。
 
 
 
 
「肌荒とかニキビとかはちゃんとメンテナンスをすれば無くなるわよ」
「洗顔とか何使ってる?洗い方もコツがあって・・」
 
 
 
 
など薄暗い部屋で梅宮アンナ似は言葉巧みに会話を重ねていく。
 
 
 
 
(あ、美容室ってこっちの美容か・・)
 
 
 
 
そんな事を思いながら彼女の話を聞いていた。
 
 
 
 
ちなみに今じゃ当たり前だと思うことでも
肌の手入れの知識がほぼ皆無だったペケ山にとっては、
うーん、なるほど。と思うようなアドバイスや、情報のオンパレード。
 
 
 
 
 
 
徐々に彼女の話術にハマっていくのである。
 
 
 
 
 
 
 
 
すると梅宮アンナ似は奥から何か機械を持ち出してきた。

f:id:x_yama:20161229100655j:plain

 
 
当時はエステなどにしかなかった
「美顔器」である。
 
 
 
 
 
 
いまや美顔器は世の中に当たり前に出回っていて安価で買えるものだが、
当時は簡単に手に入るものがなかったし、
ましてや、お子ちゃまのペケ山はこんな機械を見たことがなかった。
 
 
 
 
 
少しずっしりしたその機械のスイッチを入れると
キュインキュインと音を出し始めた。
 
 
 
 
 
「これを肌にあてて化粧水を浸透させるの」
「使っていくうちに肌がプリプリになるわ」
 
 
 
 
そしてペケ山の手の甲に当て、
キュインキュインさせた。
 
 
 
特には効果は感じられなかった。
そりゃそうだ。20歳の肌だ。
 
すでにきめ細やかなのである。
 
 
 
 
 
 
「若いうちから使っておくと後々楽よ、肌の色も明るくなるし、
梅宮アンナも使ってるわよ」

f:id:x_yama:20161229100655j:plain

 
 
あ、やっぱり意識してたんすね・・
 
別に梅宮アンナは特別好きではないが・・
「へ、へぇ〜」
 
 
 
 
 
そしてニキビにも効くとニキビ用のヘッドに変えて
ペケ山のニキビに当て、
キュインキュインさせた。
 
するとピリピリ少し痛みが走った。
 
 
 
 
「電気を当てて毛穴の中の脂を出すの」
「おぉ〜、凄い」
 
 
 
 
そして洗顔の方法が悪いと、泡だてスポンジで石鹸を泡だてる練習をした。
 
 
「そうそう上手いじゃない!」
「えへへ、そうですかぁ〜?」
 
 
 
 
 
 
この頃にはもう若干ではあるが、
師弟関係ができつつあった。
 
 
 
 
 
 
 
「いまなら綺麗が30万で手に入るよ」

f:id:x_yama:20161229100655j:plain

 
 
 
ほうほう・・・
ん???
 
 
 
 
 
 
さっさっ、30万んんん!?
 
 
 
 
 
 
 
いくら何でも高すぎる!
 
 
 
 
 
 
フリーターの20歳にとっては、
鼻血が吹き出るくらいの高額である。
 
 
 
 
 
 
「いやー、その金額はちょっと・・」
 
 
 
 
 
 
 
すると薄暗い部屋の中で梅宮アンナ似は
駄目押しで魔法の言葉を呟いた。











f:id:x_yama:20161229100857j:plain

「乳首・・・、ピンクになるわよ」

 

 
 
 
 
 
 

 
 
え?
 
 



 

f:id:x_yama:20161229100616j:plain

ガァァァァァァァン!!!
衝撃が走った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
何てことだ。
この機械を乳首に当てがってキュインキュインさせると
ピンク色になると言うのだ。
 
 
 
 
 
 
 
 

f:id:x_yama:20161229100857j:plain

「私は今お陰様でピンク色よ」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
え!?
 



 
ガァァァァァァァン!!!
衝撃が走った。
この人こんなに色黒なのに??

f:id:x_yama:20161229100616j:plain

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
気がついたらローンで購入していた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
魔法の言葉、
 
「乳首ピンクになるわよ」
 
なんと恐ろしい言葉であろうか。
 
 
 
 
どこぞの得体の知れない機械を
30万で買わせてしまうとは・・・
 
 
 
 
 
 
それだけ、ピンクの乳首というのは
女子にとってステータスであり、
ライバルにどれだけ容姿が劣っていても、
私はピンクであるという絶対的自信が
弱肉強食のサバイバルを生き抜いていく
モチベーションとなるのである。
 
 
 
 
 
 
 
家に帰って、何でこんな高いの買ったんだろ。
と少し後悔したが・・・
 
 
 
 
若干期待しつつ夜な夜な当てがって
キュインキュインさせる事、4週間。
 
 
 
 
 
 
気づいたらクーリング・オフ期間は過ぎていた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
結果は・・・ご想像におまかせしよう。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
姉に騙されたんじゃない?
と言われるまで気がつかなかった。
 
 
 
 
 
 
私は胸を眺めながら下唇を噛んだ。
 
 
 
 
まあそもそも、美顔器であって、美乳器ではない。
 
 
 
 
 
高額な美顔器は2年間のローンを残し
そのうち、ホコリを被る事になる。
 
 
 
使い続けたら本当に美顔になったのかもしれないが・・・
 
 
 
 
 
 
今は家電量販店などにいくと
安くて高性能な美顔器が沢山置いてある。
 
それを見ると胸が痛むのだ。
乳首だけに。
 
 
 
 
 
 
 
あなたも、気分がすこぶる良い日は気をつけて頂きたい。
ちょっとならいいか、が足元をすくわれるのだ。
 
 
 
 
簡単に人を信じてはいけないんだなと、
たとえ、乳首がピンクになるなど
うまい話を持ちかけられても冷静に対処し、
甘い誘惑に惑わされてはいけない。
 
 
 
自分の意思をしっかり持たないといけないんだと、
社会の怖さと世間知らずな自分の若さを知った20歳の頃の話である。