ペケ山ブログ

思いついたことを好きに書いています。

リアルナウシカ 〜胸にカナブンのブローチを〜



また会社に連れてきてしまった様だ。

てんとう虫である。

通勤時に肩に停まってずっとついてきていた。
よくあの満員電車の中潰れずにいたものだ。



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私は虫に好かれている。
のかどうかはわからないが、
誰よりも虫を引き寄せるフェロモンのようなものが
出ているのではないかと思っている。


もちろん、ジブリの中でも風の谷のナウシカが1番好きだ。
そんな想いが体から出てしまっているのか?
とにかく気づいたら体に虫がついている。



すれ違う人たちのギョッとした視線で初めて気付くのだ。



カナブン率はまあまあ高く、
胸元にブローチをつけているかの様で
ちょっとオシャレな状態になっていたりする。

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そんな私だが、ついにこのコンクリートジャングルであいつまで引き寄せてしまった。
 






とある昼休み。







近くのベンチスペースへ。
周辺の会社員の憩いの場になっていた。

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するとバリバリバリと耳元で音がした。
後ろ髪がサワサワっと何かに触れた気がする。


とても嫌な予感がした。


この感じ、大物かもしれない。

頭をブンブン振って手で確認してみた。
いない様だ。



あぁ気のせいだったのだ。良かった。

その後お弁当を食べてしばらくボーッとしていた。
 





すると隣にいた大柄の男性がそっと声をかけてきた。








「あのー・・・すみません、肩・・・カマキリ乗ってます。」







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頭が真っ白になった。




あのバリバリという音。

そう、あいつが羽ばたく音だったのだ。





しかも肩に乗っている・・・だと?














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私はパニックに陥った。



 




 



 

そのもの蒼き衣を纏いて金色の野に降り立つべし・・

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丁度青っぽい服を着ていたため、
突然思いつきの思考で冷静になろうと
自己防衛が働いたが、
カマキリが自分の肩に乗っている状況を
楽しむ事が出来なかった。

 





やはり私はナウシカにはなれない。

 






ペケ山「とっとってぇぁ●×◎▽△☆♨︎♯○$〜」
(ユパ様、この子私にくださいな)

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男性「え?とっとるって・・」
(ああ、構わんが)

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ペケ山「はっはやくー▽△☆♨︎♯○$〜」
(カイにクイ!私を覚えてる!?疲れたでしょ?いっぱい走って!)

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男性「待って!落ち着いて!」
(不思議な、力だ。)

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あまりにものパニックに
初めてナウシカの肩に乗ったテトと
初めて私の肩に乗ったカマキリが重なり
想像と現実が交差していた。
 
 








男性はまさかこんなにパニックになるとは思ってなかったのかも知れない。
 
 




錯乱状態の見ず知らずの女から
肩に着いたカマキリを取ってくれと言われた彼は




ハンカチをバックから取り出し、
嫌々カマキリをそーっとつんつんした。





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彼もカマキリが苦手だった様である。







頑張ってハンカチを使って嫌々格闘した結果、
 


「と、取れました・・」
男性は小さい声で呟いた。

 







その言葉を聞いてハッと我に帰った。





見ず知らずの人にカマキリの存在を教えてくれた上、
苦手だろうにここまで親切に対応してくれた人に対してタメ口で除去命令。





そしてひとり取り乱すという痴態。
 




周りの人達からの視線も痛い。
非常に気まずいったらない。
 





「え、へへへ・・大変失礼いたしました。
本当にどうも、ありがとうございました。」
 




深々御礼を申し上げた。
 











その後何事も無かったかのように
私たちはそれぞれ思い思いに時を過ごした。









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暫くして男性は去っていった。
 
 




 

冷静になってカマキリを肩に乗せた姿を想像してみた。









なんだか少しカッコいいかも知れない。

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そのもの青き衣を纏いて金色の野に降り立つべし
古き言い伝えは誠であった・・!
 






 


先程の出来事を忘れたかの様にフッと笑いながら男性がいた隣のベンチをチラリとみた。







するとベンチの隅で青々とした巨大なカマキリがこちらを睨み、ファイティングポーズをしながら体を揺らしていた。
 







こんなもん肩に乗っけてたのか。
身体中鳥肌がたった。
 
 







ナウシカ・・貴方はきっとこのカマキリをもテトの様に友達にしてしまうのだろう。







私は何も無かったかのように涼しい顔でカマキリを横切った。
 






ナウシカ・・カマキリは私、無理みたいだ。
カナブンまでがギリみたいだ。








会社にかえったら
服に見た事がない形の虫がついていた。
新種発見か?




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街中で体に虫を付けている女がいたらそれは私、ペケ山かも知れない。

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早くジブリパークできないかな〜


 

庶民めしをかきこむ。 〜落ちぶれてすまん!ねこまんま編〜


ついに体重計を購入。
そして現実を目の当たりにする。

この一年で6キロも太ってしまった。
冷静に考えると産まれたばかりの赤子2人分だ。
そう考えるとぞっとする。

おかしい。
何故ならば私はあまりご飯粒を食べない。
白ご飯が苦手といったら誤解を招くが
おかずで白ご飯を食べることを幼少期からやってきていないのだ。

両親が酒飲みの家庭はある共通点がある。

家族みんなで夕飯。
両親はおかずをつまみに酒を飲み、
締めで白飯を食べると言うことだ。

私は親と同じペースでおかずのみ食べ始め、
両親がご飯を食べる頃はもうお腹いっぱいになっていた。

おかずばかり食べていた私は、ご飯とおかずを一緒に食べるという動作をしていないため、おかずでご飯を食べるという事が不得意である。

おかずとご飯をどのくらいの割合で口にかきこんでいいのかがわからない。

結局、ご飯をたべているとどうしてもおかずが入らなくなるので米で腹を満たすのはもったいないと思ってしまう。

こんな事をSNSで発信でもしたらよもや米一揆でも起こるのではないか。
ねえ、そんな人、本当にいるの?と思う人もいるだろう。
日本人の風上にも置けない・・
そう口に出して呟くとなんだかあの頃を思い出した。
ヤミ米なんて言葉も聞いたあの年、
1993年コメ騒動のことである。

おかあさーん、今日もまたタイ米ぃー?と
あの頃の記憶が蘇る。

その年は深刻なコメ不足。
そんなことを言われたらより米が食べたくなってしまうのは人間の性。

しかし否応無しにパンを食べざるおえない家庭が増え、ヤマザキ春のパン祭りのシール集めがクラスで流行っていたのも何らおかしくない。

その年のコメ不足により翌年の春に日本中の家庭には確実にあの白い皿が増えたことだろう。

日本米をやっと食べれた時の幸せを忘れたわけではない。

贅沢者め!
コメ農家に謝れ!

という事で赤子2人分も脂肪を蓄えたと言うのに
米を美味しく食べる事を決意すると言う
脂肪への挑戦と脂肪の向こう側、
忘却の果てへ・・!
日本人の心を取り戻すべくコメリハビリをここに決意する。

という事で、庶民と言えばこれ。
その名も「ねこまんま
名前の通り、昔は猫のエサにする残飯の様な見た目である事からそう言われていた。今や猫ちゃんの方が人より良いものを食べていそうだが・・
昔はこれをやると、
やだザマス!行儀の悪い子ザマスね!と
マダムから後ろ指差されるくらいの行為であったが、私は何故これが市民権を得ないのかが不思議でならなかった。
粒立った真っ白い白米様に容赦なくジャバっとと煮立った味噌汁をぶっかける。
いけないことをしているという背徳感も手伝ってか食べ終わった後の満足感と幸福感。

下々の者はこの様に人の目を盗み、
こっそり食べられいるれっきとした庶民めしなのだ。
中毒性がありハマるとずっとコレばかり食べるハメになるので上流階級の方は注意しよう。

落ちぶれてすまん!と
貧ぼっちゃまよろしく
叫びながらかきこむことをおすすめする。


✳作り方
①味噌汁をごく普通に作る。
もちろん残った味噌汁でも。
ペケ山家は必ず玉ねぎが入っています。
入れなくても大丈夫!

※ペケ山は麦味噌をいつも使用。
九州では馴染みのあるフンドーキンの麦味噌。
甘みと旨みが強く一度食べたらハマる事間違いなし。

https://www.amazon.co.jp/フンドーキン-九州そだち麦-1kg/dp/B00F90C2QG

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②卵を落として半熟になるくらいまで煮る。


③ごはんをよそったお椀にガバッと卵ごと盛る。


④焼き海苔を散らし、柚子ごしょうを添えて完成。

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※柚子ごしょうは滑らかな物より唐辛子が粗挽きのものががおススメである。

これまたフンドーキンの(決してまわしものではない)柚子ごしょうは

少し辛めで味が本格的。スーパーなどで手に入りやすくお手頃である。

https://www.amazon.co.jp/フンドーキン-青柚子こしょう-50g/dp/B0084SDR1E/ref=pd_sim_325_9?_encoding=UTF8&psc=1&refRID=Y0YGT1KFT48P0260ZZ4F

 

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フンドーキンのサイトはこちら▼

http://www.fundokin.co.jp

 

口の中のおっさん曼荼羅 ~天地創造~


先日、あの厄除け関東三大大師の一つにご祈祷に行った。

 

 


お参りをするため、手水舎で手を洗う際、事件は起きた。


そこの手水舎は2人くらいが横並びできるかどうかの大きさだ。
前には年配の男性2人。

柄杓で手を洗う。

その後だ。

 

 

 


前のおっさんたちが2人ともがっつり柄杓に口をつけ口をゆすいだのである。

 

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がっぷり、いっておられますね・・

 

 


升酒でものんでる気分にでもなったのだろうか?

後ろに並んだが最後、自分の後ろにも人が並んでいる。
後には引けない。


何度か流水に浸し、
出来るだけ飲み口あたりを外して手を洗い、
手の平に水を受け口をゆすいだ。

 

 


うーん

 


おっさんの口元が頭から離れない。

 

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願い事半分、おっさんの口元半分でお参りをした後、

 

おみくじを引いたらとんでもない事が書いてあった。

 

 

 

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生死  10の内、8、9死す

 

 



歴代のおみくじでトップクラスに大辛なお告げである。

 

 

 


しかも生死にまつわる事を
どストレートに書かれたおみくじは
生まれてこのかた初体験だ。

 

 

 


口の中におっさんの口腔菌を噛み締めながら

生死のお告げを手に握りしめ、ご祈祷へ向った。

 

 

 

 

 


やはり密教はカッコいい。


カッコいいといったら怒られるかもしれない。が、やはりカッコいい。

 

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祈祷の際の僧侶達のお経の大合唱は
とにかく迫力があり、ドキドキしてしまう。
祈祷中にそんな事を思ってしまったら
バチが当たりそうなのだが・・

 

 

 

 

 

 


祈祷が始まっても生死のお告げと
おっさんの口元の雑念が頭をぐるぐると駆け巡っていた。

 

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太鼓とお経の大合唱が最高潮に達したころ

 

私は瞑想の向こう側にトリップしていた。

 

 

 

 

 

 


私の口の中でおっさんの菌が広がりながら宇宙になり

 

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大日如来が頂点に立つ曼荼羅がおっさん曼荼羅になり、

 

 

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生と死のお告げが書かれているおみくじは弾けて粉々になり
それが星となって、新たな生命が生まれて行くという無限ループが繰り返されていた。

 

 

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なぜかご祈祷終了後、口の中の謎の宇宙と天地創造

ひとりで勝手に胸を熱くさせていた。

 

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よくわからないが
祈祷中はだいぶ煩悩が荒ぶっていたため、
大師様のご利益は難しいかもしれない。

 

 


厄払いに行った私は厄を払えたのか貰ったのか。
複雑な心境のまま本堂を出た。

 

 



口の中におっさん曼荼羅を描きながらおみくじを木の枝に結んだ。

 

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今年も健康に過ごせますように。

 

 

口元緊急事態 ~白い巨人~

 

先日ランチタイムも終わりそうな時間帯の事、
昼食を終えた私はタラタラと会社に戻っていた。

 


するとスーツをバリッと着こなした背の高い男性が


足先の尖った革靴をカツカツと鳴らし颯爽と隣を通り過ぎていった。
 
 
 
 
私ははっとした。

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彼の口元にご飯つぶがついていたのだ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 

褐色な肌に米つぶは真っ白く際立っていた。
米つぶがふっくら立っていた。
 
 
 
 
 

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以前星がつく料亭で食べたあの米つぶだ。
 
 
 

土鍋でじっくり炊き上げた光り輝く
あの美しい米つぶを思い出した。
 
 
口元に米つぶというわんぱくハプニングに遭遇しただけでなく
つけている本人とのあまりにものギャップに
胸がいたくなった。
 
 
 
あんなに小さい米つぶの存在が大の大人の存在を食ってしまっている。
 
巨人だ。
白い巨人である。
 
 
 

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思わず呼び止めてしまうところだった。
 
 
 
 
 
 

が、そっと行き場のない手を下ろした。
 
 
 
 
 
 
 

あの感じだと昼食を終えて、
クライアントとの打ち合わせという所だろうか?
 

私はこういう時どうもこうも、
ひとりで勝手にいたたまれない気持ちになってしまうのだ。
 
 
 
 
 

クライアントと打ち合わせ。
その時に言ってもらえれば良いが、
 
あんなシュッとした長身で中井貴一もびっくりの整髪に
パリッとしたスーツを着てる人には大変言いづらい。
 
 

あの人がちょっとお調子者で砕けた感じであれば笑って話せるのだが、
そんな雰囲気は全くもって皆無である。
 
 
 
 
 

あまり手応えを感じなかった提案に首を傾げながら帰社。
 

米つぶの存在を誰にも教えてもらえずにそのまま帰ってきたら、
やっと酸いも甘いも噛み分けた経験豊富なの女性事務員(出来れば山村紅葉あたり)に指摘されて初めて気付くのだろうか。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

どんなに隙のない完璧で素晴らしい提案をしたとしても、
口元の米つぶが全てをコントにしてしまうのだ。

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恐らくクライアントも、タイミングを失ってしまえば、
米つぶの存在を言えなかった罪悪感に苛まれ、
途中で言うか言わまいかに気を取られるため、
話など1ミリも入ってこないだろう。
 
 
 
 
 

しかしたまたま米つぶ付いてますよと指摘してもらえたとしても
赤面必至であり、後の提案もバシッとキメることはままならず、
信頼感も半減してしまいかねない。
 
 
 
 

どっちにしろ、今日は前途多難になるだろうと予想される。
 
 
 
 

だからといって通りすがりの全く知らない人から言われるのはどうだろうか。
しかも若くはないとは言え異性の私に言われるのもプライドを傷つけるのではないか。
 
いや、私は彼に伝えれる度胸はもちあわせてはいない。
 
身だしなみが整っている人こそ言いにくいしものだ。
 
 
 
 
 
 

以前電車に乗っている際、
ズボンのチャックが全開している人に座っていたおじさんが
開いてるよのサインを送っているのを目撃した時があった。
 

意外にも下の事は簡単に言えたりする。
 
 

おそらく「うっかり痴態」であろう状態であれば
他人事ではなくなるのだろう。

下の緊急事態であると思えばそっと耳打ちできるのかもしれない。
 
 
 

だが、口もとになってくると途端に言いづらくなるのは何故だろう。
 
 
 
 
しかし、中井貴一にご飯つぶはそこそこ緊急事態である。
 
 
 
 
 
 
全くの他人の情事を気にしてられないという人もいるだろうが、
私の様に気になってしまう人の為にも
レジで袋はいりません的なカードを作ってみてはどうか。
 
 
 

それがあれば声を出さずとも、
言いづらい事もスッとそのカードを出すだけで
思いを伝えられるのだ。
 
 
 
 

米つぶ付いてますよカード、青のり付いてますよカード、鼻毛出てますよカード(正確には口元ではないが・・)
 
 
 
 
 
 
 
言いづらいことも目と目を合わせなくとも、
スムーズ且つスマートにプライバシーも守られるというものだ。
 

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まあ、そんなもんあっても余り浸透しないだろうなと思いつつ、
提案前に山村紅葉的な事務員に出会えればいいですね・・などと
そっとつぶやきながら彼の背中を目で追い、
いろんな意味で彼のこれからの成功を祈ったのだった。
 
 
 
 
 
 
 
 

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東京モッシュ ~9両目の壁~

 
東京に住んでいると避けては通れない満員電車。
 
もちろんラッシュ時はすし詰め状態で毎朝会社に出勤しなければならない。

そんな満員電車の中で繰り広げられる戦いに生き残ったものだけが余力を残して軽やかかつ爽やかに会社に到着できるのだ。


東京の住人は手すりも掴まらずグラグラと揺れる車内でスマホを見ながらバランスを取る事ができる。

毎日の事だ。

自然と体幹が良くなっているのだろう。

忍者の修行で小さい苗を毎日跳び越え、育った苗は大きな木となり、いつの間にか高い木をも跳び越えるようになると言うアレと同じ理屈である。

 

朝8時。

快速でラッシュ120%の時間帯に乗車せねばならない。

いつも同じ車両でぎゅうぎゅうの車内に飛び込む。
 
 

次の駅、またぎゅうぎゅうと前から人が乗り込んでくるのだが、そこで必ずあの人、いや、あの壁にぶち当たる。

 
 

9両目に必ず乗っているその人は50歳半ば、
150cm台の周りの男性の中でも一際小柄で色黒、
筋肉質な男性だ。

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彼は満員電車とスマホで培った体幹力を持つ猛者どもの誰よりも優れた力を持っていた。

グラグラする車内で彼だけは微動だにしない。

更に前から次々に人が乗り込んできても彼は一歩も動かない。

 

何人かかっても誰も彼を動かせないのだ。
こんなに小柄なのにだ。
とにかく硬い。
まるで岩だ。
カッチンカッチンである。
小柄なのにとてつもなく大きく感じる。

 
 
 
 

彼の背後にはあのエアーズロックがみえた気がした。

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そしていつもスッと軽く目を閉じている。

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彼ほどになると心眼を使うのだろうか。

 

実はこの電車は彼が念力で動かしているのではないか。

そんな気さえしてくる。


もうそのくらいじゃないとこの人の体幹、いったいどうなっているんだ。


いや、て言うかもうどうしたいんだ。
力試しなのか。
体幹をもっと高めたいのか。
いや、これは修行なのか。

 
 

まさか、何も感じてないのだろうか。
何人もの力を微塵も感じてないのか。
であれば凄すぎる。
 
 

超人だ。
 
 

フン、ここでは超人であっても
キン肉マンの超人オリンピックに出たら
初戦敗退だよ!

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などとよく分からない事を人と人に挟まれながら考えていた。

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彼がその場を動かない理由は私にはわからない。
 
 
 
 
 
 

わからないが、今日もまた9両目で彼は目を閉じそこに立っている。

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東京モッシュ~TAIMAN~



どこにいっても人。
 

そんな人混みをまるで周りに誰もいないかの様に、
自分のペースを乱さずに歩くことが出来るようになるともう立派な東京人であろう。
 

東京人になればもれなく自然に第三の目で間合いを図る事が出来る様になる。
四方八方から行き交う人をほんの少しの動きで交わし目的地を目指す。
 

毎日の事だ。

忍者の修行で小さい苗を毎日跳び越え、育った苗は大きな木となり、いつの間にか高い木をも跳び越えるようになると言うアレと同じ理屈である。
 

しかしそんな東京人であっても、
特に女性は間合いを図ることが苦手だったりする。

たまに間合いの計算ミスというのだろうか。

ギリギリに人をかわすが故、ひとたびタイミングを外してしまえば、
相手の急所に肩や肘などがクリーンヒットしてしまうということもある。

つまり、当たり当たられの街といっても過言ではない(そんなことはない)。
自ら攻めて行かないと前に進めないのだ。
 

その日もいつもの様に人をすり抜けて歩いていた。
 
すると向かいからカツカツとヒールを鳴らし
いかにも自己主張の強そうな20代ワンレングスの女が
若干アゴを上げながら近づいてきた。
 

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どちらかが譲って避けなければぶつかる道幅。
 
 

いつもは無意識でスッと交わす体勢をとるだろう。
しかしその時はいつもと違った。
 

これは誰でも遺伝子に組み込まれているものなのだろうか。
ただただ魔がさしたと言ったほうが良いのか。
動物的勘、女の本能が働いたというべきか。
私の中の何かを掻き立てられたのは確かだ。
 

細胞が、血がこう言っている。
 

この女には負けられない、
真っ向から勝負しろ、と。
 

確実にその瞬間いつもの自分ではなかった様に思う。
 

恐らくこのまま前に進めば
確実に肩パン状態に陥るだろう。
 

しかし、なんだか自らよけるというのは
色んな意味で負けを認める事になるのではないか。
敵のあのみなぎる自信はどこからきているのか。

若さなのか?
ここで私は「先によける」という白旗をかざすのか?
 
湧き上がる謎の思考。
 

近づくワンレン女子。
よける気はさらさら無いようだ。

こっちを見ながら当然よけるよね、と言っている様にも見える。

絶対私が避けるんだろうと思ってるな?
ふっ、お前中心に全てが回っている訳じゃねぇんだぜ
 

ますます負けられねぇ。

湧き上がる謎の決意。
 
 
 

そして
 

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アレ?
 
 

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ん?
 
 

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よけないな・・

 
 
 


ガツンッッ

 
 


ぐっ・・・
 
 
 
 

お互いギリギリでちゃんと避けたのだが、
ここで女の性質がでてしまった。

お互いうまく間合いが取れなかったのだ。
 
 

2人ともスピードを緩めなかった。
気づいた時はもう遅い。
 
 

私の肩、ちゃんとついてるだろうか。
肩が爆発したかと思うほどの激しい衝撃。
 

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お互いヨロリとし、
肩をジンジンさせながらも
 

「・・す・・み・せん・・」
「す・ま・・せん」
 

軽く会釈をし合い、すれ違った
 
 
 
 
 
 

痛かった。
ほんとにとても痛かった。
 
 
 

しかし何だかギリギリまで彼女の自分を曲げない気の強さ、
ギリギリまで避けないという強気の姿勢、若さ故の尖り方。
 

むしろ少し羨ましいとまで感じてしまったのだ。
 

湧き上がる謎のリスペクト。
 
 

そしてこう心で呟いた
「あんた、まあまあやるじゃん」

向こうもきっと
「あんたも、まあまあやるじゃん」
と思ってくれているのではないのか(いや、思ってないか)。
 
 

その時、タイマンで喧嘩しあった女番長達の姿が浮かんだ。
 

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肩をさすりながら静かに、その場を離れた。
 
 
 
 

うーん。これがうわさのマウンティングと言われるやつか。
私にもそんなもんがあったのかと人間の本能にびっくりしつつも
大人として猛反省した。
 
 

もう2度と致しません。
ACジャパンのCMを観て相田みつを先生に誓ったのだった。
https://m.youtube.com/watch?v=5GMvp6nfU1E

 

 

地獄の覗き穴  ~はなまるカフェ、本日のお客様~



妙な夢をみた。


夢の出来事を自分が小さな穴からずっと覗いてみているというものだ。


「穴から覗く」といえば忘れられない事がある。

 





10年以上前の話だ。

 

 


まだ上京する前、電車で約40分程かけて通勤していた。
乗り換えもない単線は立ちっぱなしだとそこそこ疲れる。
電車は満員だったが、何故かそこだけがぽっかり空席だった。 

 


お、ラッキー

 


この後、何が起こるか知るよしもない私は

軽い気持ちで席に腰かけようとした。

 

 


中腰の状態のまま、私は目を疑った。

 

 


このまま何もなかった様にこの場を去りたい・・

 


空気椅子状態の自分の脚に訴える。

 

 

おい、お前の筋肉、何のためについている・・!?

爆発するまで耐えるぐらい根性見せろ・・!

 

 

しかし、訴え虚しく私の脚力ではその状態から立ち上がることは出来ず、

若干プルプルしたのち結局座ってしまった。

 

こんなに筋肉質なのになぜだろう。



・・そんな事はもうどうでも良い。


 

 



なんと斜め向いに座っている人が
新聞に開けた穴からこちらを覗いていたのだ。

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ギョロギョロとこちらを伺っている。

 

 



いや、監視しているのかもしれない。

 


うん・・確実にこっちをみとる。

 



しかもその新聞には
何だか怖そうな言葉がびっちり手書きで書かれていた。


 

 

 




戦慄が走る。


 

 



周辺の乗客は平静を装っていたが、
さすがに動揺を隠しきれない様子だった。

 


私の向かいの人も私と同様、つい座ってしまった感が否めなかった。
様子を伺うかのように向かいの席の人に訴える。

 


ひとりにするなよ と。

 


そんなアイコンタクトを取り合っていた。

 

 


更にボックスタイプという膝と膝が触れ合う位の近さなのである。
想像してほしい。
近距離で覗かれているこの恐怖といったらない。

 

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自らこのデンジャーゾーンに飛び込むなんて、
同じくらいのレベルでトリッキーな奴でないと太刀打ち出来るわけない。

 

 


何故気付かなかったのか自分。
数秒前の自分の行動が悔やまれる。

 

 


とは言えもう座ってしまった事実は変わらない。


しかし、ただ穴から見ているだけで特に興奮している様子も無さそうである。


席を外す行為が逆に彼を刺激するのではないかと

思った私はこのまま約30分間(まさかのノンストップ運行)

その場で耐え続けるという事を選択した。



 



彼は何故穴から見ているのか。
はたまた何かが見えているというのか。

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新聞を見ると恐らく随分使いまわしているだろうと推測される。
常に使用しているのではないか。

 

 




しかし、こんな張り詰めた空気の中、
一つだけ救われることがあった。

 

 

 

 




彼が覗いていた恐怖新聞の一面はテレビ欄だった。

 

 


殴り書きの隙間にピンク色のマーカー。

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はっ・・はなまるマーケット・・・!!





一瞬だけしか見れなかったが、マーカーが引かれていたそこには確かにはなまるマーケットと書いてあった。

 

 

 

 



・・・恐怖の中の一筋の光。

 

 

 

 


彼がチェックした訳ではないかも知れない。
ももしかしたら・・そんな期待が生まれる。

 

 



きっとこの人・・はなまるマーケットを楽しみにしている。
マーカーを引くぐらいだ。

 

 

 

 


そしてこんな風貌である。
もうゲストで出てもおかしくないのではないか。


 

 

 

 



ヤックン、岡江さんが恐怖新聞の彼とおめざを食べている風景が見えた。


そう、はなまるカフェである。

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はなまるアルバム~!

 

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ヤックン「1枚目、視力が回復?」



ペリッ(1枚目のシートを剥がす)

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彼「僕、普段は目が悪いんですよ。これで覗くとよく見える。眼鏡をかけるよりこっちが気に入っているんです。さらに目も良くなってきたんですよー」

 

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ヤックン「あ、それ、視力が悪い人が小さな穴から覗くように見るとよく見えるって聞いたことある!





岡江さん「目も良くなるかも知れないけど、ほら、新聞ずっと持ってるもんだから、腕の筋肉がすごいですよね。
目も良くなって腕も鍛えられて、一石二鳥な感じで。ねえ?」

あはは~

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あの生放送ならではの独特な間とトーク


 

 



なんとも言えないヌルい雰囲気ではなまるカフェは進行していった。


 



そして自己防衛とも言える仮想はなまるマーケット

ついにクイズママダスに突入。

 

 


カモン!はなまるぅ~ボックスッッ!
と斎藤アナが勢い良くジャンプして屁をかますという伝説のあのくだりはもちろん導入。

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はなまる伝言板を経てついに2日目に突入していた。





仮想はなまるマーケットがオープンした

おかげでなんとか地獄の30分間を乗り切れた。

 


ようやく逃げる様にホームに降りた。

 


ヤックンと岡江さんに心から感謝し、
初めて自分で自分の妄想力を褒めてあげたいと思った。

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全身全霊で妄想に集中していた私は
その後も暫く神経が研ぎ澄まされていた。

 

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例えて言うなら綱渡りだと軽く8メートル、

縫い針に一発で糸を通す事だと針60本くらいの集中力が続いていた。

 

 


それは家に着くまで、いやもう家に着くときは

少しくらい地面から浮いていたのではないかと思う。

舞空術を身につけるくらいキレッキレに研ぎ澄まされていたのだ。

 

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惜しくも番組終了ではなまるマーケットは閉店してしまったが、別の番組でヤックンを見ると身も凍るあの出来事を思い出す。

 

 



結局彼は穴から何を見ていたのか。
穴から通して何を見ようとしていたのか。

 

 


今も同じ様な風貌で、あの新聞から覗いているのだろうか。

 



はなまるマーケットは閉店してしまったが、
それに変わる心の支えを見つけているといい・・とそんな事を思ったのだった。

 

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